やっとゴールのマラトン村にたどりつく。 炎天下の42キロを走り終えた達成感なんてどこにもない。 頭にあるのは、あぁもうこれ以上走らなくてもいいんだ、ということだけ。 村のカフェで一息つき、冷えたビールを心ゆくまで飲む。 ビールはもちろん美味い。 でも、僕が走りながら切々と想像していたビールほど美味くはない。 正気を失った人間の抱く幻想くらい美しいものは、この現実世界のどこにも存在しない。 乾杯をもっとおいしく。 サッポロビール