白露 陰気ようやく重なりて露にごりて白色となれば也。 朝宿り、たちまち消える朝露は昔から儚いものの例えの一つ。露に似て朝開き昼に凋む可憐な露草、古くは「月草」と呼ばれ、染物の下絵に使われました。水に流れ、跡形もなく消えるこの青は、多くの人々に尊ばれたといいます。今はもう、目には見えない美しさにも思いをはせていたんですね。どの満月も並ぶことのできない唯一の存在、「中秋の名月」。昔、京都の女たちは、この夜、針と糸を持ちました、月明かりを頼りに糠袋を縫うと、裁縫が上達すると言い伝えられていたのです。また一年姿を消すその名月に、新な誓いが立てていたのかもしれませんね。悲喜こもごもの虫の声、夜中の宴は続きます。京都には二十四の季節があります。