小暑 大暑来れる前なれば也。 梅雨明けが近づくと、都は華やかな熱気に包まれます。祇園祭でいただく「鱧料理」、生命力の強い鱧は、海のない都まで運べる、貴重な魚でした。京の板前たちは、骨の多い厄介な鱧を腕と心意気で、秀逸な食材に仕立て上げたといいます。自然が与えるさまざまな試練が、職人の技を磨き上げてきたのかもしれませんね。 祇園囃子で賑わう頃、人々の願いが夏の空を彩ります。七夕は機織りの神、棚機津女の信仰と織姫、彦星伝説が結びついて生まれたといわれます。織物の町、西陣では五色の糸を備えし、手芸、文芸の上達を祈って来ました。京都の歴史と伝統は、色とりどりの夢で、紡がれてきたのかもしれませんね。都の夏は油照り、その厳しさを知るのは、これからです。京都には二十四の季節があります。