夏至 陽熱至極し、また日の長きのいたりなるを以て也。 一年で最も昼が長いこの頃、夜は短く明けやすくなります。昔、夏の夜は「短夜」と呼ばれ、その儚さが惜しまれました。清少納言は、夏の最も素晴らしい時間帯を夜と言って讃えています。暗い夜も愛しんだ先人たち、一瞬一瞬がかけがえのない時間だったに違いありません。 一年の折り返しに、穢れを祓う、夏越の祓。京都には、この日に「水無月」という和菓子を食べる慣わしがあります。氷が貴重品だった時代、庶民は氷に見立てた菓子を食し、暑気払いを行いました。足るを知る質素な暮らしもまた、穢れを祓っていたのかもしれません。心も焦がす都の夏は、いよいよ盛えと向かいます。京都には二十四の季節があります。