一本の木と、一羽の小鳥とは大変仲良しでした。 小鳥は一日その木の枝で歌を歌い、 木は一日中小鳥の歌を聞いていました。 けれど寒い冬が近づいてきたので、 小鳥は木から別れて行かねばなりませんでした。 「さよなら。 “ また来年きて、 歌を聞かせてください。」 と木はいいました。 「え。それまで待っててんね と、小鳥は行って、南のほうへ飛んで行きました。」。 春がめぐってきました。 野や森から、雪が消えていきました。 小鳥は、仲良しの去年の木の所へまた帰っていきました。 ところが、これはどうしたことでしょう。 木はそこにありませんでした。 根っこだけが残っていました。 「ここに立ってた木は、どこへいったの。」 と小鳥は根っこに聞きました。 根っこは、 「樵が斧で打ち倒して、 谷のほうへ持っていっちゃったよ。」 といいました。 小鳥は谷の方へ飛んで行きました。