[00:00.361]一本の木と、一羽の小鳥とは大変仲良しでした。 [00:08.266]小鳥は一日その木の枝で歌を歌い、 [00:12.916]木は一日中小鳥の歌を聞いていました。 [00:19.097]けれど寒い冬が近づいてきたので、 [00:22.850]小鳥は木から別れて行かねばなりませんでした。 [00:28.622]「さよなら。 “ [00:30.355]また来年きて、 [00:32.462]歌を聞かせてください。」 [00:34.906]と木はいいました。 [00:38.785]「え。それまで待っててんね [00:41.630]と、小鳥は行って、南のほうへ飛んで行きました。」。 [00:47.945]春がめぐってきました。 [00:51.385]野や森から、雪が消えていきました。 [00:55.230]小鳥は、仲良しの去年の木の所へまた帰っていきました。 [01:02.970]ところが、これはどうしたことでしょう。 [01:07.650]木はそこにありませんでした。 [01:11.020]根っこだけが残っていました。 [01:15.463]「ここに立ってた木は、どこへいったの。」 [01:19.365]と小鳥は根っこに聞きました。 [01:24.045]根っこは、 [01:25.310]「樵が斧で打ち倒して、 [01:28.250]谷のほうへ持っていっちゃったよ。」 [01:31.329]といいました。 [01:34.680]小鳥は谷の方へ飛んで行きました。