お婆じゃん:ヤダね、鞠子。ホントそんなことで悩んでたの? 鞠子:だって、顔なんか全然似てないだもん。 お婆じゃん:それは誰が何と言ったって、鞠子は静恵の子供に間違いありません。婆じゃんちゃんと見てたんだから。 鞠子:見た? お婆じゃん:うん、あれはね、九月になったの、まだ暑い日だったわ。夕方になってね、お母さん産気づいたって、病院から電話がかかってきたのよ。まだなんだよ。 氏家:あ、そう。 お婆じゃん:難産みたいだね。 氏家:そうか。 お婆じゃん:あの病院の廊下で何時間待ったかしら?待ち草臥れて、うとうとしてたらね。オギャーって、鞠子の声が聞こえたの。よかった。しばらくして会いに行ったら、皺皺の鞠子がすやすや 寝てたの。