金田:で、先生、犯人が着ていたのはこれじゃなかったでしょうか。近くの茂みに捨てられていたもんです。 大畑:似ているような気もするが、断言はできん。黒いごくありふれたウインドブレーカーだったと思う。 金田:先生、襲われた後、秘書の山村さんの手で車に運ばれた。その後ずっと車に? 大畑:ああ、情けない話だがこの足がな。金田:それは当然です。で、その間何か変わったことは? 大畑:いいや。あッ、そういえば、オレンジ色の風船がいくつも上がってくのを窓越しに見たな。何かのイベントだったのか…。 金田:それでしたら、通りかかった親子が倒れている奥様を見つけた時のものでしょう。 大畑:そうか、妻は本当によくやってくれていた。