洋一:兄貴はまだ早いって反対してたけどさ、親父はやってみろって、大阪は商売の街だからとことん 勉強してこいってさ。厚子、大阪で一緒に頑張ろうな。 厚子:私は嫌。 洋一:どうして? 厚子:このマンションはどうなるの?買ってまだ半年もたってないのよ?洋裁学校の講師だって続けたいし、おまけに大阪なんて。 洋一:大阪のどこがいけないんだよ。 厚子:お金に細かくて、隙がなくて、ずうずうしくて。だいたい、あの関西弁っていうのが苦手なの。 洋一:何だよ、そんなことかよ。 厚子:断ってよ。 洋一:厚子。 厚子:私は今のままで十分、お兄さんの下だっていいじゃない。 洋一:何言ってんだよ。大阪で成功すれば独立だって夢じゃないんだよ。こんないいチャンスないんだぞ 厚子:だったら、あなた1人で行けばいいじゃない。