葉山:俺は悔やみ続けました。どうしてあのとき、見ていたと名乗り出られなかったのか。背格好、着衣。俺が見ていたものは、少なからず、捜査の足しになる情報でした。怖かったんです。いつか、犯人が俺を捜して、口封じのために、殺しに来るんじゃないかって。そう思うと、たまらなく怖くて。だから俺は、大学には進学せず、高卒で、警察官になる道を選びました。犯人の陰に怯えない自分をつくりたかった。全てに隙 のない、強い警察官になりたいと願ったんです。