どうして あの光を 怖れるようになったの まるで羽をたため ない蝶が舞うよう どうして 彼の人をまた 選んでしまったの 焼けついた喉ではもう 鳴くことも叶わないのに 錆びついた螺旋階段 醜く歪む無限道 対の鏡に刻まれた 終告げる亀裂割れ すべては幻想 もう 逝く宛てがない というなら 彷徨おう 紅く美しくいられるように ああ 彼の人への 愛しい虞を抱いて 僅かに永久に眠り に就きたい だから その手を離さないで どうして あの花を 易く摘んでしまったの 掌のなかの花弁は 痩せていくのに お願い 彼の人にもう 一度だけ逢わせて 宵闇に僅かうつる 影法師それだけでいい 朽ち果てた逆さ天井 磔られる時計塔 黄泉に繋がる彼岸には 脆い隔夜道 まだゆめ幻想 まだ 生くことが 許されるなら 果てようか 紫に滲む 涙ぬぐって ああ 風に潜む妖たちよ伝えて ぬくもりすらも いまは望まない だけど その手は離さないで 枯れ果てた灰染め桜 いまも宵繋ぐ六道 対に並んだ咎花は 終香る日々さえ 明日亡き幻想 もう 逝く宛てがない というなら 彷徨おう 紅く美しくいられるように ああ 彼の人への 愛しい虞を抱いて 僅かに永久に眠り に就きたい 僅かに永久にひと つになりたい だから その手を離さないで その手を離さないで