[00:00.00] 作曲 : 片倉三起也 [00:29.26]濃紅(こいくれない)へと沈む夕べに [00:38.71]土に撓(たわ)まぬまま [00:44.80]少しずつ朽ちるのは [00:49.07] [00:50.44]また一片の花弁 [00:52.82]また一輪の薔薇(そうび) [00:55.13]蒼ざめ浮き立つ [00:57.54]かつての純白(じんぱく) [00:59.99]まだ薫りは仄かに [01:02.30]まだ記憶を留めて [01:04.73]すべて甘やかに [01:07.09]忘れよと告げるように [01:11.59] [01:12.24]いま私は妬(ねた)ましい [01:16.78]花の季(とき)が [01:22.72] [01:48.31]硝子(がらす)を伝わる水滴(すいてき)眺め [01:57.69]凍(こご)えることのない [02:03.79]肌(はだ)を抱く爪は棘(とげ) [02:08.30] [02:09.55]指先を触れもせず [02:11.82]囁きも交わさずに [02:14.16]遠離(とおざか)る影を [02:16.61]目を閉じ追っても [02:18.95]瞳から植えられて [02:21.29]胸の奥で何度も [02:23.75]開こうと藻掻(もが)く [02:26.15]一塊(いっかい)の赤い芽を [02:30.69] [02:31.36]恋と呼んで [02:33.88]慈(いつく)しめばいいのですか [02:41.62] [03:04.95]まだ一片の花弁 [03:07.12]まだ一輪の薔薇 [03:09.38]外は騒ぐ風 [03:11.71]通り過ぎる修羅 [03:14.17]なお薫りは立ち篭(こ)め [03:16.59]もうひとつあとひとつ [03:19.13]この身の代(か)わりに [03:21.27]散り果ててゆくがいい [03:25.96] [03:26.58]溜息も零さずに [03:28.70]叫び声も上げずに [03:31.23]ただひとりの名を [03:33.46]塗り込め差す紅 [03:35.86]ここは蔦(つた)の蔓延(はびこ)る [03:38.18]熱の籠もる温室(おんしつ) [03:40.65]咲きも枯れもせぬ [03:42.96]わが薔薇だけの為の [03:47.31] [03:48.15]誰かの手で織り込まれた [03:52.98]造花(ぞうか)のような