作曲 : 片倉三起也 召(め)シマセ 艶(つや)薔薇 ヨリドリミドリ イロトリドリニ わたしたちを束(たば)ねて 絹(きぬ)のリボン結けば 着飾(きかざ)ったドレスも霞むわ 紳士の腕のなかで うっとりと開くのよ どんな甘い恋さえ敵わない 楽園のイヴも 太古(たいこ)の女王(じょおう)も 眠る姫君も皆 わたしを愛したの 馨(かぐわ)しく交歓(こうかん)しましょう 仄かに染まる指は舞って花びら たおやかに包んだ夢は いつか溢れる蜜(みつ)のように 黄金(おうごん)に満ちる 世界は美しい 画家(がか)たちは競(きそ)うように この姿を描いた 文士たちは言葉に留めた 歴史浸ひた)す悲劇(ひげき)や 戦場(せんじょう)の荒れ野にも 静かにわたしたちは薫る 甲冑(かっちゅう)の少女も 非道(ひどう)の悪女(あくじょ)も 乞食(こじき)の娘も皆 わたしを抱きしめた 触れあって交感しましょう 哀しみ恐れ祈り すべて分け合い 熟(う)みながら真っ赤な棘(とげ)は 傷つく胸を塞ぐために 巻き付いてゆく 契(ちぎ)りの一刺ざ)しを 召シマセ 艶薔薇 ヨリドリミドリ イロトリドリニ 馨しく交歓しましょう 緑の茵(しとね) 月の侍(はべ)る揺りかご やわらかに夢を喰むのは 厳(おごそ)かに血の通(かよ)う蔦(つた)と天鵞絨(びろおど)の舌 秘めやかに交配しましょう あなたは生まれ変わる 新種の薔薇に 愛惜(いとお)しく種を蒔きましょう どんな時代(とき)でも わたしたちが咲き添う限り 世界は美しい