第十七課 中日経済の展望 本文 1972年9月21日、中日両国政府は共同声明を発表して、 両国間の不正常な状態が終わり、両国関係の歴史に新たな一ページが始まったことを宣言した。 それ以来、両国の友好協力関係はすでに各方面に豊かな実りをもたらしている。 共同声明と1978年の平和友好条約を基礎に、両国間の頻繫な相互訪問によって、 両国関係の順調な発展が保証されるようになった、民間の友好交流もいっそう拡大され、 両国間の友好都市は既に120余りになり、経済貿易の関係も深まり、 共同声明発表の1972年に10億ドルだった両国の貿易額は現在では200倍の2000億ドルに達した。 一衣帯水の隣国として、二千年の友好の歴史を持つ中日両国は互いに協力して、 未来に目を向けて努力すれば、両国関係の前途はいよいよ明るく広いものになるであろう。 会話 (Aは「人民中国」記者、bは「経済部門の責任者。) A 私どもは本誌に中日国交正常化の記念特集を出すつもりですから、 今日は中日両国の経済貿易の展望についていろいろお話を伺いたいと思います。 b どうぞ、何でも聞いてください。 私もこれをいい機会と考えますから、いろいろお話したいと思います。 A 中日両国の国交正常化の歴史を振り返って見ると、両国間の経済貿易の発展というものが、 その中で大きな役割を果たしてきたように思うのですが、いかがでしょうか。 b その通りです。中日両国の国交正常化というのは、まさに経済貿易の協力から始まったんです。 1952年6月に最初の中日民間貿易協定が調印されました。これが両国関係正常化の第一歩にもなったわけです。 A その後、その道は年とともにだんだん広くなりましたね。 b そうです。1962年に、半官半民方式による「中日総合貿易に関する覚書」が調印されました。 それで間もなく、北京と東京にそれぞれの事務所が設けられ、両国間の貿易も急速に増えました。 A 「水が流れてくれば、おのずと用水路も開かれる」のことわざ通り、 その民間貿易が文字通り呼び水となってついに1972年9月に国交正常化を迎えたわけですね。 b それも全く両国人民の努力のおかげです。 今こうして国交正常化の記念日を迎えるに当たり、 「水を飲むときは、井戸を掘ってくれた人の恩を忘れてはならない」という言葉を改めてかみしめています。 A そうですね。そうして、経済貿易面での協力が国交正常化を促し、 その国交正常化はまた経済貿易を大いに発展させる結果にもなったわけですね。 そのあげた成果はどれぐらいになりますか。 b 両国間は次々と協定を調印し、各分野で合作を発展させています。 例えば、1972年に10億ドルに過ぎなかった貿易額は現在では200倍にも成長して、2000億ドルに達した。 日本は中国にとって、最大の貿易相手となりました。 A そうですか。両国の経済貿易関係は新しい段階に入ったと言えますね。 b その通りです。両国政府や経済界の交流も日増しに盛んになりました。 A かつて「井戸を掘った」人々――民間貿易の方は? b 新しい友人がたくさんできましたが、古い友人のことももちろん忘れていません。 現在、中国に設置されている外国の民間企業の中で、日本のものが一番多いですよ。 A そうですか。新しい段階に入った中日経済の展望はどうでしょうか。 b 周知のように、中国は総じて言えば資源も労働力も豊かです。 知識層のレベルも低くありません。 日本は資源に乏しいが、資金力、技術、そしてレベルの高い管理能力を持っています。 ですから、両国はそれぞれの特長をさらに生かして、合作を進めてゆくべきです。 これは両国人民の利益になるだけでなく、アジアの安全と世界の平和のためにも望ましいことです。 A 今日はいろいろ伺って中日経済の展望についてよくわかりました。どうもありがとうございました。 応用文 世々代々友好的に付き合っていこう 中日両国の間には昔からずっと友好交流の歴史があった。 しかし、近代に入り、日本軍国主義が中国に対して侵略戦争を起こしたことで、両国の友好関係は大いに破壊された。 この不幸な歴史は中国人民に多大な災難をもたらしただけでなく、日本国民にも大きな被害を与えた。 我々は歴史を銘記することを強調しているが、恨みを抱き続けるためのものではない。 歴史を鏡として未来に向かうためであり、平和を守るためであり、 中日両国の人民が子々孫々世々代々にわたって友好的に付き合っていくためである。 1972年の国交正常化以来、中日両国政府と民間は、中日共同声明と中日平和友好条約の原則と精神に基づいて、 友好協力関係を発展させるのに大きな努力を払い、喜ばしい成果をあげた。 両国の指導者は互いに訪問し、政府間の会議、民間人会議、 中日友好21っ世紀委員会の会議などを定期的に行い、それによって両国関係を健全に前向きに発展させてきた。 中日友好協力は双方に有利であるだけでなく、アジアと世界の平和・安定にも極めて重要である。 国交正常以来、両国間の貿易額が急増し、両国間の人的交流も盛んになり、友好関係を結んだ都市も百以上に上った。 様々な形の交流を通じて、両国人民の相互理解と友情は絶えず深まり、 中日友好はすでに両国人民の心にしっかりと根を下ろしている。 中国の現代化建設において、日本は円借款を提供し、中国のインフラ建設環境保護、 エネルギー開発など支援て積極的な役割を果たした。 大勢の日本友人が中日友好のために心血を注いだことを中国人民は永遠に銘記している。 日本の国民は創造力にたけており、勤勉で英知と向上心に富んでいる。 明治維新以降、日本は世界の先進的文明を吸収し、アジアで最初の近代国家に発展した。 限られた資源と国土の中で、世界注目を集める発展を成し遂げた。 製造業、情報、金融などの分野で進んでおり、世界一流の省エネ、環境保護技術を持っている。 これは日本国民の誇りであり、中国人民が学ぶべきものである。 もちろん、中日関係にはいろいろな曲折もあった。 しかし、歴史が証明しているように、仲よくすれば、両方に利益があり、仲が悪くなれば両方とも傷つく。 中日両国間に、問題や意見の食い違いが起こることは避けがたい。 だが、双方が歴史を尊重し、中日共同声明と中日平和友好条約の原則を守りさえすれば、 必ず障害を排除し、矛盾を解決し、友好協力事業を推し進めることができる。 国交正常化以来の歴史は「千里の行も足下に始まる」という中国の言葉の正しさを証明している。 今日の中日友好協力のあらゆる成果はいずれも両国人民のたゆみない努力のたまものに他ならない。 「世々代々友好的に付き合っていこう。」という遠い目標を持ち、未来に目を向けて努力さえすれば、 中日友好協力事業は必ずますます展望するであろう。 単語 展望 共同声明 正常 宣言 既に 実り 条約 基礎 頻繫 相互 いっそう 貿易額 一衣帯水 隣国 目を向ける 前途 部門 責任者 本誌 国交正常化 特集 協定 調印 第一歩 半官半民 総合 覚書 用水路 呼び水 記念日 掘る 嚙み締める 促す 成果 次々と 段階 経済界 日増しに 設置 周知 総じて 労働力 乏しい 資金力 管理 特長 望ましい 世々代々 軍国主義 侵略戦争 不幸 銘記 恨み 子々孫々 喜ばしい 民間人 健全 前向き 双方 有利 極めて 急増 人的 上る 根を下ろす 円借款 心血を注ぐ 長ける 英知 向上心 以降 成し遂げる 製造業 曲折 証明 傷つく 食い違う 障害 排除 矛盾 推し進める 千里の行も足下から始まる いずれも たゆみない 賜物 目標