第十九課 テレビの功罪 本文ここ十年来、テレビの普及率は高まる一方で、 現在では約三千三百万台という膨大な数に達したという。 一方、トランジスターラジオが実用化されてから、 ジオの数も増え続け、ながら族という人種さえ現われた。 中には、ラジオを聞き、 テレビを見ながら宿題をするような子供もいるという。 テレビ、ラジオのこのこうな普及ぶりから当然予想されるように、 子供たちはマスコミから非常に大きな影響を受けている。 例えば、先日の新聞によると、 小学校の三年生が同級生をナイフで刺して、 重傷を負わせた テレビをまねた」のだそうだ。 しかし、テレビ番組のすべてが悪いとは一概に言えない。 オリンピックの中継は、当時までほとんど知られていなかったいくつかの運動競技の楽しさを、 どれほど多くの人々に紹介したことだろう。 あるいはまた、われわれは、いながらにして世界のさまざまな生活を見ることができ その事が、世界中の人々がお互いに理解し合うのに大きな力となっている。 ある人々は、 前のような例をもとにしてテレビは良くないと言い、 他の人々は後のような例をもとにしてテレビは良いと言う。 しかし、ここでよく考えてみなければならないことは、 テレビもラジオも結局一つの道具にすぎないということである われわれは、この道具の巧みな御者とならなければならない。 このごろのテレビの普及ぶりはすごいらしいですね。 ええ、増える一方らしいですよ。 今でも、増え続けているんですね そうですね。 それでね、いろんな悪い影響があるらしいですよ。 そう一概に悪いとは言えないんじゃないですか。 例えばね、この間の新聞によると、 小学校三年の子供が、 ギャングごっこをして友達に大けがをさせたんだそうです。 その子は「テレビをまねた」と言ったんだそうです。 でも、この間のオリンピックの中継を見たでしょう。 ええ その時、今まではほとんど知られていなかった新しい競技を始めて見て ようやくおもしろさが分かった人も、 ずいぶん多かったんでしょう これはテレビの良い面じゃないんですか。 それはそうですね 世界中のいろんな生活ぶりを見ることもお互いに理解し合うのに大きな力となっているということも、間違いなさそうですね。 ええ、これだけテレビが増えれば、 良かれ悪しかれみんながテレビの影響を受けるわけですけど テレビだって、結局道具にすぎないんですから、 やっぱりこういう道具を巧みに使いこなすだけ賢くなければならないんでしょう。 応用文 テレビを活用しよう ぼくの家では、しばらく前に、二か月ほどテレビを修繕に出していたことがある その間、ぼくは本を読んだり、兄や父とトランプで遊んだりしていた。 宿題のほかに、予習や復習などの勉強もできた。 そして、一学期が過ぎた。 そのときの成績を見て おどろいた 母もびっくりした。 ものすごく成績が良いのだ。 ところが、テレビが直ってきてからは また母から、「テレビばっかり見てーー。」と言って しかられるようになった。 ぼくは、自分自身の生活とテレビについて よく考えてみなければならないと思った。 ぼくは、今まで何となくテレビをみていた。 ひまさえあれば、チャンネルを回していた テレビのなかったときはよかったなと思っても、 つい見てしまうのだ いつか先生がおっしゃった 「テレビの奴隷」という言葉が思い出される。 でも、テレビは本当にいけないものなのか と、ときどき思うことがある テレビとは、どういうものだろう そして、なんのためにあるのだろう。 テレビには、楽しいという良さがある。 かっこいい人物が出て来て大活躍をしたり おもしろい人物が出て来て笑わせたりする はらはらするドラマもあれば、悲しくなる物語もある 本当に楽しい。 それに、役に立つところもある。 教育番組では ふだん見られない珍しい物を見せてくれるし 地球や太陽の動きを分かりやすく図で説明したり、 望遠鏡で見たところを映したりしてくれる。 こう考えると、テレビのおかげでとても楽しい生活ができている。 しかし、テレビには良くないところもある。 放送局が多過ぎて どこのチャンネルを回してもやっているので、 ついどこかのチャンネルを見てしまう チャンネルが多過ぎるのは、テレビの見過ぎとなって問題である。 番組の中に良くないものがある。 人を殺すところや 歌謡曲なんかでキャーキャー言っているのは良くないと思うが、 今ではそれが極普通になってきている。 深夜番組もいけないと思う。 友達にも、おそくまで見ていて、 寝不足でねむたいという人がいた 視力がおとろえたという人もいた。 でも、そんな番組があるのは 見る人があるからだと思う だから、テレビの見方が問題だと思う。 番組は自分で選べるのだから 放送局が多いことは逆に言えば良いものを広く選べることになるわけだ。 大切なのは、選び方を考えることだ。 なんの考えもなしにいつまでもつけっぱなしでみていたり 何かないかとパチンパチンとチャンネルを回してばかりいたりするのは、 テレビに引き回され低ることではないかと思う こういうのが、先生の言われた「テレビの奴隷」ということになるのだ。 だから、前もって見たい番組を決めて計画的に見るようにするころだ。 そして、見終わったら、ぱチットスイッチを切れることだ。 この事をわすれなければ?テレビはぼくたちの生活にもっと役立つものになると思う。 そして、もっと積極的にテレビを活用することができるようになると思う。 単語普及率 高まる 膨大 達する トランジスターラジオ 実用化 人種 刺す 重傷 負う まねる(真似る) 一概に どれほど われわれ 結局 御者 いろんな ギャング ごっこ 大けが ようやく(漸く) これだけ 良かれ悪しかれ 使いこなす 賢い 修繕 トランプ 一学期 なんとなく つい 奴隷 大活躍 人物 はらはら 動き 図 望遠鏡 放送局 殺す 歌謡曲 キャーキャー 極 眠たい 衰える っぱなし パチンパチンと 引き回す 計画的 パチット 恐れる 思いがけない 垂れる