その花を 咲かせばあとは 枯れるのが その定めか その命 散らしてつなぐ 思いを全て 受け取って 遠くに見ゆるその影に、ふと過る 遠い日に交わした約束 この手の届かぬところへ、歩み去る その背中に影を合わせて 交わし足りぬ言葉 全てを胸に押し止め ただただ願うのは 愛した女の幸せか 竹ノ花 咲けばただ 散るまでの身と聞けども その命の在る限り どうか生きてゆけと その幸せを願えばと この身を引くも厭わずに ただ小さく深い傷痕が いつまでも疼いている、嗚呼 【弥】 遠くに消えるその影に、目が滲む 彼方去りゆくはいとし人 その身に生まれた因果を、受けながら この気持ちだけは換え難く はらり滑り落ちる 掴んだ幸せの脆さに それでも願うのは 愛した男と生きること 竹ノ花 咲いてただ 散るまでの身を抱えて 誰にでなく愛を叫ぶ 共に生きていたいと ただ幸せを願ったが それでも儚く消ゆるのみ ただ深い哀の終わらずに いつまでも遺されて、嗚呼 どうか わたしの代わりに どうか 愛を伝えてと どうか わたしの代わりに どうか あの人と生きてと どうか わたしの代わりに どうか 愛を伝えてと どうか わたしの代わりに どうか あの人と生きてと 【求】 遠くに探すその影が、歩み寄る 誰よりも近くに寄り添って 全てを内に閉じ込めたその瞳 ただ静かに刻を重ねて 愛も悲しみも この背に全て引き受けて 我が子に願うのは 何も背負わずに生きること 竹ノ花 未だ咲かぬ その身だからこそ生きよと 限り在るその命 せめて自分らしく 人の世に 愛だけが 全てである筈もなければ ただ一途に幸せに 生きていけと願う その幸せを願うなら どうかその道を真っ直ぐに ただ深く愛を胸に秘め いつまでも願っている、嗚呼