コンビニバイトブルウス ハンサムケンヤ 時刻は午後八時を回った頃 人相の悪いサラリーマン風の男一人 パーラメントライトひとつ 時間切れなのか遅いと怒鳴り始めた 慌てて出てくる店長叱り こんな奴雇うんじゃねぇぞと憤怒の形相 僕も人間だこんな奴直ちに殴りたい 言われなくても凌いでみせるつもりですが 煙草吸う奴は税金よく払い年金もらう前に 肺ガンで死ぬんだ 予備校の先生が口癖のように言っていた 言われてみればかなりの愛国心だ なにはともあれこのサラリーマン 爆破寸前レシート丸めて 店長の髪の少ない部分を目掛けて そいつを振りかぶって投げた 投げつけられたレシートじゃなかったら 大袈裟な振りして110番して 金がとれたと笑って話す店長 大きいよあんた心も頭も光ってる そうこうしてる間に干物女 定時刻にポパイカレーを買うから 店の中でもポパイカレーの女と呼ばれている そういうのいかんよ レジ打つとき吹き出してしまいそうな俺 シフト表に×入れたのにデートがあるから 変わってくれとか 何も言い返せない僕は毎日入ってる だって独り身の誕生日なんて言えなくて 深夜のコンビニやる気のない俺 早く帰りたい 牛乳一気飲みしてひとっぷろ浴びて 泥のように眠りたい あと二時間でそいつが叶う レジ点検いつも数十円の誤差 こんなちょっとしたことにもイライラする まるで生きる喜びをレジに感じているような そんなことだからアイツ失恋で長期休み おでんのええ匂いに立ち眩み寸前 ヨダレがでるのを必死に堪え 今日も街行く人のための二十四時間の万屋 客はマンネリ化新鮮なのは品物だけ