ふきとひよこが恋をした とうていかなわぬ恋でした 雪が日陰でおびえる頃 ふきがふきのとうの頃でした 芽生える木の芽と恋心 ひよこを手招く香る風 おひさま色に胸がときめく 雪が日差しにとろけるような うるんだ眼差しで見つめるひよこ 固く閉ざしたふきのとう ひだまりにほころび 葉っぱの羽広げ 春先の庭のかたすみの 小さな小さな物語り 言葉をかわす事もなく 静かに時は流れます 春先の庭のかたすみの 誰も知らない 恋物語り 春の足音が 聞こえる 晴れたらいつもひよこはふきの そばで夢見心地ひなたぼっこ ふくらむ蕾と恋心 ひよこをくすぐる香る風 おひさま色に羽が染まる 雨が降ってもひよこはふきの そばを離れずにぬれていました ふるえるひよこに差し出すように ふきの葉っぱが伸びて 空に広がる傘 春先の庭のかたすみの 小さな小さな物語り 言葉をかわす事もなく 静かに時は流れます 春先の庭にかすみゆく 誰も知らない 恋の行方 話のつづきは またいつか