[00:10.590]あたしは家族を失った土地を捨て [00:14.260]ひとり海へ [00:15.850]一艘の舟を勝手に借りて漕ぎ出した [00:21.330]波が荒れ 死ぬかと思った [00:26.530]気が付けば海賊船の上で [00:36.810] [00:37.310]義手をかざす海賊が [00:39.870]「あんな舟じゃ自殺行為だ [00:43.500]海も狂ってきてる [00:47.860]なんなら陸まで送ろう」 [00:50.510]嫌だ!あんな忌まわしい場所など [00:55.870]二度と帰るもんか [00:58.530]ここで働からせてくれませんでしょうか! [01:09.520] [01:14.690]海賊船はどんな波にも負けない [01:18.230]揺るがない [01:19.840]その厨房で食事係を任された [01:25.220]何人居るんだ? どれだけ作れば [01:30.530]連中はお腹が膨れるのか [01:40.800] [01:41.290]義手を愛でる海賊は海賊団の頭で [01:46.330]みんなに慕われていた [01:51.920]海賊なんて名乗って [01:54.570]格好だけつけてる優しい人 [01:59.840]あたしもよく可愛がられた [02:04.710] [02:10.650]でも奴らは船を見つけると [02:21.170]容赦なく襲い始めたんだ [02:31.930] [02:54.530]返り血浴びた奴らが食料抱え戻ってきた [02:59.880]仲間になれたと思ってたのに 泣きながら [03:05.210]操舵室に駆け込み舵取り船を走らせた [03:14.250]岩壁に向け [03:20.980] [03:22.680]義手の冷たい手のひらが [03:25.200]あたしの頬を叩いていた [03:28.820]「生きるための犠牲だ」 [03:33.180]でもそれは不公平だ [03:35.880]弱い者いじめだと言うと [03:39.520]「じゃあこれでどうだ」と服を脱ぎ捨てた [03:46.520]その体の半分はぼろぼろの鉄で出来てた [03:52.920]「俺も弱い者だ [03:57.180]なあこれからはひとりで [03:59.880]やってこうと思うんだが [04:02.280]この様だ…連れが必要だ [04:07.860]ちょうどいい おまえが [04:10.520]ついてきてくれないか」 [04:19.120] [04:39.040]ふたりを乗せた小さめの [04:43.490]船がゆっくり沖へと進んでく [04:52.420]朝の光へと [04:58.690]