[00:00.00] 作曲 : zts [00:00.000] [00:06.000] [00:12.000] [00:14.870]止まったままの時計の針 散らばった造花のはなびらに [00:22.050]あやうく光がまつわり [00:27.320]かすれたいろの皿の上で黴の花がほのめいている [00:34.610]湿気にあえぎながら [00:38.550] [00:38.820]いまも消えない そのざわめき その不確かな残像は [00:46.640]ちかくとおく ふれられそうで ふれられない [00:52.000] [00:52.250]ああ もう届かないあの場所に 忘れたものがあるらしい [00:59.260]二度とは取り戻せない それだけはわかっている [01:04.640]ああ もう戻れないあのときに 捉えたものがあるらしい [01:11.810]またたくその瞬間に みえないものが見えた気がして [01:18.600]――ふとした痛みに襲われる [01:21.690] [01:23.840]壁にかかった洋服の袖 あいまいな折り目の墨いろに [01:31.030]煩瑣な言葉がからまり [01:36.350]いまは無理だと答えるたび 少しずつ何かを失った [01:43.570]焦りにかられながら [01:47.520] [01:47.870]流されてゆく 埋もれてゆく 時間だけがただ過ぎてゆく [01:55.710]熱は冷めて奪われても 抗がえない [02:01.000] [02:01.280]ああ まだ何もないこの場所で 自分だけは相も変わらず [02:08.270]何かをつくろうとして ひとり息を殺している [02:13.640]ああ 口では上手くいいながら 自分自身に嘘をつく [02:20.880]周りを見渡す前に 大事なことを忘れている [02:27.770]――そうして痛みは消えてゆく [02:39.460] [02:50.650]切り離された 距離と時間 [02:56.850]いつも少し遅れて気づく [03:03.100]だけどそれも麻酔のような空白に [03:11.060]侵されて みえなくなる きこえなくなる [03:16.300] [03:16.480]ああ この傷口はいつの間に 大きくなっていたのだろう [03:23.570]流れて落ちる過去が 血だまりをつくっている [03:28.890]ああ まだあきらめていないのは 行き先を思い出せるから [03:36.140]それでも追いつくことができない いまの自分には もう―― [03:42.640] [03:42.810]届かないあの場所に 忘れたものがあるらしい [03:48.660]二度とは取り戻せない それだけはわかっている [03:54.030]ああ もう戻れないあのときに 捉えたものがあるらしい [04:01.250]またたくその瞬間に みえないものがみえる気がした [04:08.120]――いつしか痛みは消えている [04:11.530] [04:18.150]終わり