海は夜鳴る 潮の音は 沖におどろの 曇り空 波が光るぞ 流れ藻の 花の白きが 懐かしや 海の鳥鳴け 紀の浦は 日かげ侘しい 磯がくれ これが遥々 五十里の 人にこがれた 情けかよ 呼びも呼ばれも したなれど 磯は虚せの 桜貝 海が鳴る空 曇り空 逢わぬ紀の浦 日が暮れる。