匂いガラス お話ししましょう 誰かがなくし 誰かが拾った 甘くて酸っぱい リンゴのような 匂いガラスの さわりをね それからあとは あなたの話 今をときめく都での 胸に刺さったガラスのかけら 匂うほどに 疼くのは 恋も知らない カイとゲルダの ガラスがみちびく 怪しの日記 お話ししましょう これからね 安寿子の靴 こうして いつも水の時計はまわる 水に流すつもりでまわり 水にさからう時間をさがす 涙は折れた水の針 でもでもと 水に落ちた時計を探し 流れのおきてにさからう子だって 波はきっと好きだというよ こうして いつも水の時計はめぐる 水に落ちた靴までまわり 赤いかかとをもたげてゆれる 流れて歩めば水の町 でもでもと 水に落ちた思い出拾い 流れのおきてにはむかう子だって 波はきっと好きだというよ