桜の森の満開の下 冷たい花びら背に受けて 桜の森の満開の下 ひとりの男が駆け抜ける 都忘れ 花匂いし 散りゆく声 時の中に 風のいろも うたう鳥も 木々の切れ端 枝をくぐり つたう刃先の 朱色飛沫 ぬぐうことなく 駆け抜ける 桜の森の満開の下 女の望みは叶えられ 桜の森の満開の下 ひとりの男が駆け抜ける 人を離れ 道を失くし 夢も見ずに 掻き消えても 夜の桜に 罪を重ね 月に照らされ 滲む傷跡 桜の森の満開の下 冷たい虚空が張りつめる