シトシト さみだれ 五月の雨は 過ぎた人への想いを集めて 紫陽花の花を咲かすのですか 寄り添う無数のはなびらから あなたの声が聞こえてきます もう泣かないと心に決めて 一人できっばり歩きだしたけど 傘がない日は雨に負けます 濡れた靴が思い出に迷います そんな私を見かけたら 弱虫とあなたは笑うでしょうか 二人を包んだあの日の愛は 消えた時間の渦巻きの中で 粉々の光になるのでしょうか 誰にもわからない愛の行方 むなしいけれど美しすぎて あなたはきっと帰ってくると 涙の向こうでうぬぼれてみても そんな気休め すぐに崩れて 濡れた服の冷たさに溺れます そんな哀しい街だけど この街で私は大人になった