雨、雨かしら… ビルとビルの狭間にともる、 だいだい色の微かな明かりが 窓に映えてる そろそろ 眠ろうかな… スキャンダルめいたものが 黄色のカーテンをひくと 雨で柔らかになった都会が死にかけている 春雨が静かに、 ふっている 女はなぜ 傘を閉じたままにしているのか ヴァイオリンのようにきしむ 階段の下で まだ眠っちゃダメ 私より先に… 秘密の 足取りで忍び込んだ猫… 猫… 彼は突然そこにいた 座れば座り、 蹴れば蹴られたままでいる 気の進まぬ天使のように ウィンクのように 未知の言葉をしゃべりながら ふいと、 あたしに寄り添うのか 猫の秘密の足取り 残酷なポルノグラフィー 降り出した雨 少し強くなったみたい… 眠ろうかな 今夜はそろそろ 眠ろうかな…