夢を見ていたんだ 硝子の中で 管の伸びた腕などもう要らないや 踊る花,歌う鳥 ギュスターヴ·ドレが問い詰めた 苦しみのない世界の夢の中から目を覚ます 荒れ果てた空を眺める僕は 錆付いた花を愛せるだろうか 枯れ朽ちた樹々に背中を預け ただ,沈むように眠りに落ちる 夢を見ていたんだ 孤独の中で 薄汚れた愛などもう要らないや 光る星,赤い薔薇 サン=テグジュペリが問いかけた 憎しみのない世界の夢の中から 目を覚ます 見え透いた嘘を並べる僕が 傷付いたなんて我儘だろうか ありふれた虚偽の言葉の海で ただ,沈むように眠りに落ちる 夢を見ていたんだ 小雨の中で 雨の染みる傘などもう要らないさ 曇る空,石畳 カイユボットが描く街 観たことのない世界の夢の中から 目を覚ます 「ああ,この世界が, いつか観たような夢だったら良かった」 知らず知らずのうちに過ぎていってた時間と 終わることも覚めることもない 長い旅路の中 私は 独りいつまでも ここで立ち止まっていたんだ 目が覚めても期待することのない 酷い世界で つぶやいた