「すっかり暗い気分になっちゃったし、やっぱこういうときはゲームだね!」 「そうですね!」 「このコンビないわー……」 「どういうゲームやるんだろうね」 「お、いい質問だねー」 「まぁ、定番なのは王様ゲームだろうな」 「先生、おっさんくさい……」 「ふぐっ……」 「じょ、女子と王様ゲーム……夢・シチュエーション……。 も、ももももしや、楽しいときを創る企業、バンダイの提供お送りしていますか!?」 「落ち着け。スポンサーはバンダイじゃないから」 「王様ゲーム……。王位を争うというなら負けるわけにはいかないわね。 ルールを聞きましょうか」 「これ、そういうゲームじゃないから!」 「一応説明しよう。王様ゲームというのは、くじで王様を決め、その人が何でも命令できるというゲームだ。 『王様だーれだ♪』の掛け声で一斉にくじを引く。いいか?『王様だーれだ♪』だぞ?」 「ノリノリすぎるでしょこの人……」 「なんでも命令できる。素敵な響きです!」 「はっ、なんでもということは戸塚に……」 「ちゃんす!」 「なんでもっていうのはちょっと怖いね」 「そうね……。特にあの辺はろくなことを言い出さないでしょうね」 「ちょっとそこ、俺に冷たい視線向けるのやめてもらえますか」 「じゃあ、王様ゲームはやめて、山手線ゲームにしょっか」 「あ。あたしそれでもOKです」 「俺、山手線ってあんま乗らないんでよくわかんないんですけど」 「じゃあ、総武線でもいいよ。名前は何でもいいし。みんなルールは大丈夫?」 「問題ないわ」 「では始めようか。掛け声は『総武線ゲーム、イエーイ♪』だぞ」 「だからノリノリすぎてちょっと可愛いじゃねぇかよ……」 「総武線ゲーム♪」 「イエーイ!」 「総武線だーれだ!」 「これ、そういうゲームなの!?」 「あ。俺、総武線だわ」 「るふん、我も総武線ユーザーだ」 「しかも続ける気なんだ!?」 「さっきの王様ゲームとは別物なのね……」 「ちゃんとルール説明したほうがよさそうだね……。 では、助手さん、ルールの説明をお願いしますね」 「はーい、助手の小町です。では、総武線ゲームのルールを説明します。 ざっくりいうと、『お題出す、みんな答える、リズムよく』です!」 「ざっくりすぎるだろ……。ささみさんのOPだってそんなにザックじゃねぇぞ……」 「似たようなものに古今東西ゲームとかありますが、あれです、あれ。 というわけで、早速まいりましょ~!」 「まずはお題を決めないとね」 「急に言われると、あんまり思いつかないなぁ……」 「パーティーや合コンなどでのゲームとしてやる場合には、 その後の話題提供を兼ねてやるのが常套手段だ、覚えておくといい」 「はぁ、そういうものなんですねぇー。勉強になります」 「それが生かされてる感じ全然しないのが悲しいけどな……」 「けれど、どんなお題なら、その後の会話に繋がるのかしら」 「自分の趣味とか好きな料理とかだと、その後の話も広がるな。 『あ、釣りがご趣味なんですね、私も行ってみたいなー』とかそんな感じだ」 「ほんとだ!すごい!なんか超自然!」 「そこまで計算ずくなのに結果が出ていないのが悲しいな……」 「じゃあ、お題は『趣味』にしとこうか」 「とりあえず、やってみましょ!」 「総武線ゲーム♪」 「イエーイ!」 「古今東西、今自分の中で熱い趣味~」 「カラオケ!」 「先言われちゃった!えと、料理!」 「乗馬」 「テニス!」 「うむ、原稿執筆」 「ドライブ」 「旅行」 「え、趣味……?に、人間観察……?」 「……」 「比企谷、アウトー」 「え、ちょっとまった。人間観察、立派な趣味だろ!」 「それって要はなんもしてないってことじゃん……」 「あなたの場合、それは趣味ではなく、習性でしょう?そういう生き物なのでしょう?」 「人を野生動物みたいに言うんじゃねぇよ。だいたい俺がアウトなら、由比ケ浜もアウトだろ! お前、料理まったく趣味じゃないだろ」 「失礼な!料理作ってるとこ見たりするの超好きだもん!」 「料理鑑賞って新しいわね……」 「さすがに趣味、人間観察って言うのはちょっとどうかなぁ……。 少なくともわたしの周りでは聞いたことないんだけど」 「それはそうでしょう。人間観察が趣味なんて言い出す奴は大抵友達いませんから。 いわばこれは選ばれし者だけが許された高尚な趣味なんです」 「それは、悪趣味と言うのよ」