「たでーまー」 「およ?お兄ちゃん、おかえりー」 「小町、飯はー?」 「え?あ、あー……。てっきり打ち上げとかあると思って用意してなかったんだけど……」 「なんだ、小町らしくもない。俺は合唱コンクールだろうが卒業式だろうが、 問答無用で直帰してただろ。今回も同じだ」 「ふーん……。お兄ちゃん、頑張ってたのに」 「頑張ってたから打ち上げなんて行きたくないんだろ。これ以上疲れたくねぇんだよ」 「ふむふむ、そういう考え方もあるかもね。お兄ちゃんらしいし、まぁ、いっか。 さって、じゃあ、晩ご飯どうしよっかなー」 「小町、携帯鳴ってるぞー」 「ほーい」 「はいはい、小町ですよ」 「あ、小町ちゃん?あたしあたし」 「あ、どーもどーも、いつもお世話になっております」 「お前はサラリーマンか」 「お兄ちゃん、うるさい。まだ小町が電話で話してるでしょーが。 すいませんね。……ほうほう、ほぁー。あ、そういうことなんですね。 かしこまりです。あとは小町にお任せ~✩」 「んーっと、まずは……」 「電話の後にすぐメールか、忙しいなお前」 「何事も忘れないうちにすぐ行動するのが大事なんだよ。ほい、そーしんっと」 「そうか。……お兄ちゃんのご飯のことも忘れないでくれると嬉しいです」 「あ、そのことなんだけどさ、ご飯用意してないし、外に食べ行こうよ」 「えー?いいよ、うちで。なんならもう俺が作るし」 「いやいや、お兄ちゃんは実行委員会で頑張ってたんだし、 それを労う的な意味でもお外でぱーっと……」 「そういうことなら、小町の手料理のほうが嬉しいんだけどな」 「お、お兄ちゃん……。も、もうバカ! どこでそんな高等テクニックを覚えたの?ただでさえクズなのに、 女心くすぐるようになったらいよいよヒモしか未来がなくなるよ?」 「ひどい言われようだ……」 「とにかく、お出かけすること決定。レッツ・ゴー!」