空、青々と澄みわたり 鳥さえずりて胸を射る アアリンゴのたわわの木の下 その実と同じくうなだれる 哀しき父ひとり どうこくする その名は葛西善蔵 おせいおせい彼はうたったぞ 現せ身の寂寞の何たるかを 日々声して走り抜けたぞ 暗き内なる修羅の喉笛 哀しき父ひとり もろ手をこする 痛いぞ葛西善蔵