絶望する大きな赤い犬を見たであ 子供と連れだって 山の方さ行ったであ 喘ぎふるえるその顔は時々 笑っているようにさえも見えたであ ポカリポカリ 生まれた命だ カクンカクン 息絶えた命だ アーアーアーアーアー 幾度春来て花咲いて 山河が尊く潤んでも 鉛の弾をぶち込みたい かすんでちんけな胸ばかり あーあーあ一あーあー 一切合財 世も末だ 絶望する犬は 実は青空で 観念だけがまっくら闇に充ちている 守るだの攻めるだのと 手に乗せる夢すらなく 途中経過だけが力強く語られてゆく ポカリポカリ 生まれた命だ カクンカクン 息絶えた命だ アーアーアーアーアー 流れるなんて言わないで 何かやってみせてくれ 歯車みたいに擦り切れて 立っているだけじゃ能なしだ あーあーあーあ一あー 一切合財 世も末だ 絶望する犬に 眠ってしまいたい事がある 重い空を認めて 抱えてしまった日に 生家の事だけが くっきりと浮かんでくる その道は吹雪の空へと続いている ポカリポカリ 生まれた命だ カクンカクン 息絶えた命だ アーアーアーアーアー 明るい声に涙する ハッ手の葉っぱがバサリバサ 悪だの正義だのない どっちを己が恐いかだ あーあーあーあーあー 一切合財世も末だ ここ こきょう 見棄てられた夢よ ここ こきょう 見棄てられた夢よ