弱き者 人間よ 聞け 人間なら人間らしく 生きていればよい 其れを滑稽にも だだの人の分際で 俺たち鬼の真似をしようなどという企 常ならぬ力を得ようなどという目論見 俺には身の程知らずとしか 言いようがない 哀れ人間の力に限界があるは 自然の摂理 遥か昔より 俺たちは 生まれ持って卓越した能力を 脉々と受け継いで来ただけだ 新選組よ 貴様らは 異世界に迷い込み 狂い咲きしている時代の徒花 だが 其の花は紛い物 一瞬で枯れてしまう花だ 花は其のままで土の上で生きるべきもの 私利私欲の為に 人ならぬ者に成るなど笑止千万 此の世界で 鬼として生きられるのは鬼のみ 鬼は人ではなく 人は鬼ではない 新選組よ 言っておく 貴様らが 鬼の一族の女と心を通じ合える筈はない 水と油が交じり合わぬように 解りあえることなどない 同じ地上にいて 似た姿かたちでいながら 相容れないものだからだ 罪深い人間などと 解りあう必要もない 鬼と心が通じ合えるのは この 鬼だけなのだから 舌先三寸の人間よ 聞け 己が欲にまみれ 狡猾で利己主义な人間を 俺は軽蔑する 之まで俺たちが姿を消していたのは 鬼を利用した挙句 徒党を組んで滅ぼそうとする 邪な人間達とは 到底相容れぬ判断したためだ だが俺は 新選組の 身を捨ててまで志に生きるという 大義名分には興味を持った 認めもした しかし貴様らがよりにもよって羅刹と貸し 力の限界を超えようとしているなど 無益な所業だ 新選組よ 鬼と貸してみても 鬼の魂にはなれはしない 人でもなく 鬼でもなく 獣でもなく ましてや神仏でもなく 結局 貴様ら人間に戻り 人間として死ぬ他はないのだ 俺は 人間など歯牙にもかけてはいない しかし 之だけは伝えおこう そうだ 貴様らがもしも誠ために戦うと言うなら 人間のままで戦え 脆弱なる人間が 俺と対等に渡合える筈もない たとえ羅刹と貸しても 鬼と対等に渡り合うことなど 万に一つもない だが もし あるとすれば… そのときは貴様ら人間を 少しは 認めるやもしれぬ 人間どもよ 聴こゆるなら聴くがよい 鬼の頭である俺の 此の とはずがたりを