また今日も新聞配達の オートバイの音が聞こえて来た それはもう昨日のことだよと言って エンジンの音が通り過ぎた ガラスの窓中に顔がある どこの誰ともわからぬ顔が 武将髭を生やして目を赤くして 私の顔を覗きこんている 夜は削り取られて 川底に沈む そしてそこに朝がやって来た ぐっしょりと寝汗を描いて朝が 濡れ布巾のように街を潤った また今日も新聞配達の オートバイの音が聞こえて来た それはもう昨日のことだよと言って エンジンの音が通り過ぎた