３人の可愛い姉妹と、吊り橋の下に潜むモノ。

月は青く輝き、風は鳴りやまない。
吊り橋の下、潜むケモノ、
渡るモノを貪り喰らう、村ビトのウワサ。
母親は病いに倒れ、娘達は心に決めた。
治すための薬草は、谷の向こう。
末っ子が心配そうに「ねえ、取りにいけるかな？」

雲が月を隠し　星は瞬きはじめ、
吊り橋の下。潜むケモノ、
エモノが来るを待ってる、村ビトのウワサ。
揺れる吊り橋の下、潜むモノは真っ黒。
長女が元気つける様に、
「絶対いける！母さんのためならばぜんぜん怖くはないんだからね！」
心の奥から滲み出た罪、カタチになるココロの矛盾。
「優しいと残酷って、いっしょにいられるの？」と次女は言う。

吊り橋は細く狭く、一人ずつしか渡らない。
最初に渡った末っ子は出逢ってしまうあのケモノ。
震えて命乞いも無駄ダモノ、ケモノは叫ぶ。
「次に渡ってくる子は。私より美味しいですよ！
私よりずっと可愛いし、どうぞ代わりにしてくれませんか？」
末っ子がそう伝えると、ケモノは悩み、
「そいつが来るのを待とうか、おまえの代わり。」
こうして末っ子は無事に吊り橋を渡る事、出来ました。
吊り橋は細く狭く、一人ずつしか渡らない。
次に来て渡る次女も出逢ってしまうあのケモノ。
震えて命乞いも無駄ダモノ、ケモノは叫ぶ。
「次に渡ってくる子は。私より美味しいですよ！
私よりずっと賢いし、どうぞ代わりにしてくれませんか？」
次女が丁寧に伝えると、ケモノは悩み、
「そいつが来るのを待とうか、おまえの代わり。」
こうして次女は無事に吊り橋を渡る事、出来ました。
最後に渡ってきた長女に、同じように問いかける。
震えて命乞いも無駄ダモノ、ケモノは叫ぶ。
震えて命乞いも無駄ダモノ、長女も叫ぶ。
角折って、皮はぎ、ハラワタをえぐって、静かになった。
ゆすられる吊り橋の上で、佇む黒い仔山羊。
手に入れたおクスリを待ち帰り、涙が落ちる。
ボロボロになって倒れてる、母親がいました。
角は折られ、皮をはがされ、ハラワタはえくりとられてました。

月は青く輝き、風は鳴りやまない。
吊り橋の下、潜むケモノ、
渡るモノを貪り喰らう、村ビトのウワサ。
どうやらその潜むケモノが、三匹に増えたらしい。