作词 : 北原白秋 作曲 : 佐藤由佳 あかき血はたんぽぽの 黄なる蕾を染めてゆく、 君がかなしき傷口に 春のにほひも吸はれゆく・・・・・ 飛ぶことを諦めた 夢見る綿毛のやうに 空を映して 君十九歳 何も答へず行ってしまった あかき血はたんぽぽの ゆめの逕(こみち)にしたたるや、 君がかなしき釣臺(つりだい)は ひとり入日にゆられゆく・・・・・ あかき血はたんぽぽの 黄なる蕾を染めてゆく、 君がかなしき傷口に 春のにほひも吸はれゆく・・・・・ 何をあてに生きるか判らず さりとて君の後も追えず 時だけ過ぎてまた春がくるたび 思ひ出す この夕日の色に 白く優しい雨に 僕はゆっくり濡れてゆく そのかなしみも 途絶えた夢も 全て受け止めよう この魂(こころ)に あかき血はたんぽぽに けふの入日も吸い込まれ 絶えて聲なき身体から かげも、靈(たましい)も運ばれて あかき血はたんぽぽの ゆめの逕(こみち)にしたたるや、 君と並びし帰り路に 今日も入日は消えてゆく