[00:01.42]無機質な空の色 [00:06.30]視界に広がる未来都市 [00:11.70]のんきなクワガタは肩を這う [00:16.88]ここはどこだろう [00:42.82]愛らしいペットのクワガタと [00:47.69]じゃれていただけなのに何が起きたの [00:52.78]パニックを起こした私は何度も [00:57.97]クワガタにチョップし続けた [01:03.10]「戻れ!戻れ!」と叫びながら [01:08.27]路上で昆虫を襲う私に [01:13.48]現代生け花みたいな髪型の警官が [01:18.64]「そこのリアス式歯並びの君!」と声をかけた [01:23.83]未来人にコンプレックスを指摘された [01:28.89]お前の祖先にいたずらするぞ [01:34.31]平成原人は涙目で訴える [01:39.22]「クワガタにチョップしてるだけです!」 [01:44.51]「10年前滅びたクワガタだ!」 [01:49.75]警官は驚愕を顔に浮かべる [01:54.72]私の話を信じた彼によると [01:59.91]ここは50年後の世界 [02:04.97]この時代の君に会えたら [02:10.25]多分帰る方法がわかるだろう [02:15.38]彼は粘着質に私の家を調べ出し [02:20.57]訪ねるとそこには私の孫が住んでいた [02:25.60]鮮やかに歯並びが遺伝しちゃっている [02:30.94]二世代経たのに無様に似てる [02:35.99]平成原人は涙目で励ました [02:41.13]「港としては非常に優秀だから!」 [02:46.30]「この時代のあなたはここにいます」と [02:51.50]連れて行かれた先は病院 [02:56.63]余命一カ月と言われて今日でちょうど [03:01.89]一か月になるんです [03:27.74]やせ細った老人の顔は [03:32.81]それでも自分だとわかって [03:37.86]未来の自分はこの時を [03:43.27]待っていたかのように喋り出す [03:47.69]「何も言わなくていい [03:51.06]言いたいことはわかってる [03:53.90]今すべて教えればきっと [03:57.63]今日死ぬ運命さえ変えられるだろう [04:04.06]でも私が語るのはたった一つ」 [04:09.60]「これから君は何度でも [04:12.10]何度も何度も後悔し [04:14.61]何度も何度も傷ついて [04:17.12]何度も何度も泣くだろう [04:19.85]でもその一つ一つ [04:22.45]噛み締めて時が経つほど [04:25.06]いつの日か熱を帯び [04:27.68]手放しがたくなるから [04:30.16]何も知らずに帰りなさい [04:34.78]私はちゃんと幸せだ」 [04:47.79]熱を失う老人に [04:51.37]こぼした涙がクワガタに [04:54.79]触れるや否や瞬いて [04:58.42]いつもの風景に包まれた [05:02.00]まだ青い空の色 [05:05.58]まだ青い空の色 [05:09.04]まだ青い空の色 [05:12.63]まだ青い空の色