4本の火柱がめらめらと 燃えさかり 煙が立ち昇る 俺は今 揺れる小舟の上 ガンジス河を下ってる 細い路地裏には死を待つ老人の群れ 座ったまんまで動かない やせこけた右手を道行く人に出し 小銭を手のひらに掴む 俺は船を降り 3時間近く 焼け崩れる真っ黒い人間を見た 「神様はどこにいるのか」と尋ねたら 老婆は自分の胸を指した 笑いながら自分の胸を指した Bye Bye ガンジス 大いなる河よ Bye Bye ガンジス 何も教えてくれない 鮮やかな色に包まれた女たちは 今日も明日も この河で乳房を洗う 今日も明日も この河で乳房を洗う やがて跡形もなく白い灰になり 黄土色のガンジスに流された わかっちゃいたけど 人間って奴が 確かに目の前で灰になった 裸足で櫓をこぐ老人が 憂い顔で 俺に笑いかけた 深いしわを顔中に刻んで 「死んだら灰になるだけさ」と笑った 旅をするのは 帰る家があるからだ さすらいの旅ほど淋しいものはない ふと虚しさに突き落とされそうになったけど 「死んだら灰になるだけさ」と笑ってみた 「死んだら灰になるだけさ」と笑ってみた Bye Bye ガンジス もっと生きようと Bye Bye ガンジス 俺の命が叫ぶ さよなら 名も知らない死人たちよ あなたのように 強く死ぬまで生きようと あなたのように 強く死ぬまで生きようと Bye Bye ガンジス・・・・・・ Bye Bye ガンジス・・・・・・ ベナレスの河岸に並ぶヒンズ一寺院 ひと群れの牛を引く少年 大きな瞳で手をあげたとき なぜに俺は目をそらしたんだろう 俺はふたたび小舟に乗り ポケットのハモニカを吹いた 悠々と時にまかせて音を飛ばしたら 生まれてきて ほんとによかったと思った ガンジスは 何故よどんでいるのか なぜ"聖なる河"と呼ぶんだろう 考えながら仰向けにひっくり返ったら やけに空は高く青かった やけに空は高く青かった