第十三巻 509ページ 私は馬鹿だ そう沈んでから気付いた 私は 歌いたかった この歌を聴いて欲しかった それだけだった…/ 《 Chronicle 2nd 》 Vol.14 海の 蒼い波の 照らす…月は冷たく 大きな巖場の陰(シェイド 庭舞臺(テラス)…夜は冷たく 聴いて…嫌や…聴かないで 空を呪う 恨み唄…いや…憾み 海を渡る 楽しければ笑い 悲しければ泣けば良いでしょう けれど今の私には そんなことさえ 私はもう人間(ひと)ではない 歌うことしか出來ぬ 悍しい化け物へと変わり果てていた 生きることは罪なのだろうか 望むことは罪なのだろうか 歴史よ…アナタの腕に抱かれた 彼女達は言うだろう 「アナタの愛は要らない 私はそんなモノを愛とは呼ばない」と 嵐を導く哀しい歌聲は 白鴉の途を遮るかのように END