[00:00.00]第一巻816頁 [00:05.78]こんな嵐の夜は 傷痕が疼く [00:17.01]右腕を引き千切る様な 在るはずの無い痛み [00:22.57]誰に話すこともなく 男はひとり苦惱している [00:28.47]殘った左腕で何を為すべきかを… [00:34.07]不吉な予兆は 日に日に影を色濃く落とす [00:39.15]確實に その時が近づいている [00:45.29]あの日と同じ嵐の夜 男は人知れず旅立った [00:53.40]覺悟は決まっている まだ左腕がある… [00:57.69]男は扉を必死で押さえていた [01:02.09]扉の向こうは闇 邪悪な力が溢れ出ようとしている [01:06.85]それを左腕で必死に抑えていた [01:10.37]もうダメだ…右腕…右腕さえあれば… [01:15.13]男が諦めかけたその [01:18.40]薄れゆく意識の中 温かい光を感じた [01:24.01]右手に槍を掲げ 嵐の中幾千の人々が祈っている… [01:29.64]あの時の子供達は皆 大人になった [01:34.94]雷神は右腕を失い 世界は生まれ変わった [01:39.97]右手が蒔いた種を育てたのは [01:45.64]そして美しい花がさく 幾千の花が咲く… [01:49.61]彼には勇敢な左腕と 幾千の右腕がある [01:54.41]決して負けはしない そんな想いが歴史を紡ぐ… [01:57.67]…やがて時は流れ… [02:03.23]「ねぇおじいちゃん、どうして?雷神様には、 [02:05.72]右手が無いの?可哀想だよ…」 [02:07.52]と街角の子供は問う… [02:09.41]子供の小さな手を取り 老人は微笑んで答える [02:12.44]「雷神様の右手は、今もここにあるよ…ほれ、その [02:15.16]右のポッケの中にも…」 [02:17.00]