[00:00.00]第四巻 27ページ… [00:04.02] [00:04.18]世界を救いし隻腕の英雄亡き後 [00:07.89]邪神が封印されし地に街を築き [00:11.38]自らが結界の役割を果たし [00:14.69]永き平和への礎と成す… [00:17.44] [00:18.05]誇り高き右腕に刻まれし雷の紋章(あかし) [00:21.86]彼の者達の名は [00:23.45]雷神の民 [00:25.34]伝承の謎 [00:26.83]紋章の秘密 [00:28.52]少年が描く軌跡 [00:30.77]雷神の系譜 [00:32.23] [00:40.04]弱い者ほど徒黨を組み [00:44.05]身代わりの羊を捜す [00:47.64]愛を知らない幼き日々は [00:51.10]灼けた石の痛み [00:53.96] [00:54.18]ひとり唇噤んだまま [00:58.04]膝を抱えて耐えていた [01:01.61]雨も宿ればいづれ過ぎ去る [01:05.13]嵐もまた然り [01:08.49] [01:08.99]されど輝やかざる紋章(しるし) [01:11.96]本當の強さって何だろう? [01:15.96]差し出された少女の小さな手が [01:20.08]とても大きく見えた… [01:23.11] [01:27.38]黙したまま何も語らぬ歴史の手の平の上で [01:34.18]出會ってしまった少年と少女の物語 [01:39.73]十年の歳月も一閃の雷が如く [01:44.70]過ぎ去ってしまえば剎那 [01:48.00]今…黒の歴史が再び動き出そうとしている… [01:53.17] [01:53.42]遠い空見上げて [01:58.50]この胸を焦がす [02:03.76]浮かぶのは彼女の愛らしい笑顔だけ [02:14.35]適わぬ想いと [02:19.51]識っていながら [02:24.11] [02:24.96]麗しの君は何故 [02:26.17]一族の長の娘 [02:27.56]部族一強き者の許へ [02:30.14]嫁ぐこと定めしは [02:31.41]変えられぬ民の掟 [02:34.49] [02:34.99]嗚呼… [02:35.43]雷(ちから)無きこの腕じゃ [02:36.70]君のこと護れない? [02:38.10]想いなら誰にも負けないと [02:40.69]叫んでもその言葉 [02:42.04]虛しくも風に消えた… [02:45.38] [02:46.14]期は満ちようとしていた [02:48.88]長の娘も今年で婚禮を定められし齢十六 [02:54.32]その誕生の日が差し迫り [02:56.93]一族の猛者達は競って名乗りを上げた [03:00.43]期は満ちようとしていた [03:02.43]邪悪なる波動が街全體を包み込み [03:06.33]空に立ち込めたる暗雲は [03:08.97]<三度目の嵐>の訪れを告げようとしていた… [03:13.02] [03:14.12]「おぉ…何ということじゃ…! [03:18.13]黒き法衣(ローブ)を纏いし者達の影が見える… [03:21.91]予言書の使徒、 [03:23.33]奴らを封印の深奧へ行かせてはならん、 [03:26.38]邪神の封印を解こうとしておるのじゃ…! [03:29.10]いまや雷神様も血も薄れ、 [03:31.45]我らに扱えるは小さき雷のみ… [03:34.86]あぁ恐ろしいや…! [03:36.96]天地を揺るがす強大な力じゃ… [03:39.79]來るぞ…あぁ來るぞ…!」 [03:42.82] [04:43.84]地を割る咆哮 [04:45.89]天を裂く爪牙 [04:47.72]烈火の如く燃えさかる六対の翼 [04:51.07]暗黒を宿した瞳に魅いられただけで [04:54.62]勇猛なる戦士が次々と倒れていった… [04:57.67] [04:58.31]嗚呼… [04:59.51]人間(ひと)とは神の前では [05:01.33]かくも無力なモノなのだろうか… [05:03.77]誰もが深い絶望に呑まれかけていたその瞬間(とき) [05:07.32]一際眩い閃光が雷(ちから)無き青年の體を貫いた… [05:11.70] [05:12.37]「覚醒め(めざめ)よ… [05:14.10]勇敢なる右腕を持つ者よ… [05:16.77]直系の雷(ちから)を受け継ぎし者よ… [05:19.98]かつて私は邪神(やつ)を封印せし折 [05:23.56]雷の槍を放ったが故右腕を失った… [05:27.66]今その雷(ちから)を開放すれば [05:30.41]右腕はおろか全身が吹き飛ぶやも知れぬ… [05:34.15]御主にその覚悟があるか? [05:37.44]…ならば今こそ覚醒め(めざめ)よ<雷神の右腕>よ!」 [05:41.26] [05:41.63]「ひとりでは耐え切れぬ雷(ちから)でもきっと [05:48.66]ふたりなら大丈夫私は信じる!」 [05:55.23] [05:55.54]暗雲を貫く雷 [06:02.06]あの日出會った少年と少女は [06:09.36]今…二つの紋章(しるし)重ね合わせて [06:16.53]輝ける未來(とき)を紡ぐ… [06:25.23] [06:43.80]「…ちゃん…ねえ…お婆ちゃん… [06:46.34]お婆ちゃんったらぁ!」 [06:48.35] [06:48.94]「どうしたの [06:50.18]それからお話どうなったの?」 [06:52.88] [06:53.41]「おお… [06:54.83]そうだったねえ、ごめんよ。」 [06:57.57] [06:57.74]「その後、 [06:58.59]雷神様が邪神をやっつけたんだよね?ね?」 [07:01.85] [07:02.47]「さて、 [07:03.79]どうだったかねえ… [07:05.46]昔の話だから [07:07.20]もう忘れちゃったねえ…」 [07:09.18] [07:09.49]「えー、そんなのずるいよぉ。」 [07:12.33] [07:13.19]…そう言って微笑んだ祖母の瞳(め)は [07:16.28]とても優しい色をしていた [07:20.23]…その時の事は今でも印象深く覚えている [07:25.50]… 私は信じているのだ [07:27.94]雷神の系譜は途絶えていないのだと [07:31.89] [07:33.74]受け継がれるモノ [07:35.89] [07:37.55]…受け継がれざるモノ [07:40.20] [07:42.37]暗雲を貫く光を翼に受け [07:46.91]その白鴉は羽ばたいて往く… [07:51.55]end…