愚者は問う…鉄壁の王城を捨て 女王は何処へ往くのかと 賢者は識る…どれ程堅牢な守備を誇ろうと 陥落しない城など存在し得ぬことを プリタニア暦627年『カンタベリーの戦い』 ハーシファル騎士団長率いる第四騎士団 ドーバーより上陸した帝國軍第一陣を迎え討ち カンタベリー平原にて開戦 どんな敵も恐れはしない祖國(くに)を護る為に剣を振るえ 胸に気高き女王(クイーン)の薔薇を抱いた同胞(とも)よ 進め我らは<薔薇の騎士団>(ナイツブザローズ)だ 死をも恐れぬ薔薇の騎士達は彼に続く 緋い戦場を駈け廻る一條の雷 パーシファルの雷槍(スピア 進め我らが<薔薇の騎士団>(ナイツブザローズ)だ ──時は來た!時は來た!(Chrono, Velesa! Chrono, Velesa!) ──時は來た、見よ!ベルガの死神だ!(Chrono, Velesa! Chrono, Velesa!) 帝國暦元年『グラスミアの戦い』 アルヴァレス將軍率いる帝國軍第三陣 辺境の地ホワイトへブンより上陸 疾風の如く馬を駆り敵陣の後背を突いた 殺す相手を愛する者や 祈る者がいることは忘れろ 邪教の使徒は根絶やしにしろ 眼を背けるなこれが<聖戦>だ 燃え上がる山村 虐殺される人々 逃げ遅れた娘 追い駈ける男 馬上で弓を引き絞り 獲物に狙いを定める 放たれた火矢 細い娘の身を掠める 転倒した娘 「シャルロッテ!」/“Charlotte!” 飛び出した男 娘に振り下ろされた白刃を弾き返す 動かない娘 向かい合う二人の男 此方…白馬のアルヴァレス 彼方…黒馬のゲーフェンバウアー 「武器を持たぬ者に何をするのだ…」 「小娘といえど邪教の使徒 情けを掛けてやる必要などありわせぬ…」 「道を踏み外すな目を醒ますのだ…」 「貴様にだけは言われたくないわ…」 偽善者、英雄狂、 人殺し<ベルガの死神>(アルベルジュ 「親父はッフェンブルグで死んだ 兄貴も 弟も 戦友も 皆 「待て貴様、 帝國を裏切るつもりか まぁそれも良かろう <ベルガの死神>(アルベルジュ)よ 貴様を殺す男の名を忘れるな その男の名こそ <ベルガの死神の死神>(ゲーフェンバウアー)だ 幾度も繰り返される過ち 歴史に何を學ぶ 奪い奪われてはじめて 気付く闇がある ──時は來た!時は來た!(Chrono, Velesa! Chrono, Velesa!) ──時は來た、見よ!ベルガの死神だ!(Chrono, Velesa! Chrono, Velesa!) 狹い山道を風のように駈け抜ける白馬 馬上には白銀の甲冑の男 傷ついた娘を抱きかかえたまま南へと疾り去る 「ゲーフェンバウアー… 世界を憎み呪うかのようなあの眼 あの男は私だ 私の過去だ ロッテ… 嗚呼… シャルロッテ… 私は何と戦えば良い END