[00:00.00]澪音の [00:02.01] [00:03.19]荒れ果てた野を一人の少女が往く [00:07.34]正確には一人と一匹 [00:10.13]少女の右手には赤い紐 [00:12.64]その先に結ばれたる首輪もまた赤く [00:16.90]黒銀の毛並みを持つ犬は小さく吠えた [00:20.85]飼い主たる少女『澪音』に語りかけるかのように [00:25.23] [00:40.18]豪奢な廃墟に転がり [00:43.50]冷たい雨に怯える [00:47.14]輝ける名誉も権力(ちから)も [00:50.80]今ではもう過去の所有物(もの) [00:54.09] [00:54.79]観測とは事実の側面を抉り取る刃物(ナイフ) [00:58.47]その男は果たして…何を得…何を失ったのか [01:01.83] [01:02.15]奪いし物は奪われ [01:05.32]斯して世界は廻る [01:08.88]降り止まない雨の向こうに [01:12.60]何色の空をみる [01:16.49]代償(リスク)を背負うほど加熱する駆け引きは [01:23.45]全て失くすまで気付かない [01:27.23]度し難い自我(エゴ)の下僕(しもべ) [01:30.59] [01:45.55]空虚な廃墟に転がり [01:48.95]冷たい雨に震える [01:52.57]帰る場所も待ってる人も [01:56.24]今ではもう過去の支配領域(ばしょ) [01:59.63] [02:00.25]推測とは事実の背面を削ぎ落とす刃物(ナイフ) [02:03.86]その男は果たして…何を見…何を悟ったのか [02:07.40] [02:07.61]奪いし者は奪われ [02:10.77]斯して時代は廻る [02:14.46]降り止まない雨の向こうに [02:18.13]何色の空がある [02:22.01]運命を捩じ伏せ従える心算(つもり)でも [02:28.96]未来(とき)を掴もうと伸ばした [02:32.61]その腕では短か過ぎた [02:35.97] [02:36.49]閉ざされた少女の瞳が開かれし瞬間(とき)世界は [02:43.62]幻想し得る最悪の狂夢(ゆめ)を [02:47.11]残酷な死神(かみ)を見る [02:50.76] [02:51.92]──澪音の世界 [02:52.65] [02:53.09]『死』とは…精神(こころ)に先行して [02:56.34]まず肉体(からだ)に依存する感覚から朽ち果てるものらしい [03:01.99]なればこそ人間(ひと)は散々忌避し逃避を企てながらも [03:07.57]招かれざる死の冷たい接吻(くちづけ)に耐え得るのだろうか [03:12.97]絶え間ない恐怖感が雨となり降り続けるという幻想 [03:18.55]それは…生きながらにして精神(こころ)を壊されてゆく苦痛 [03:24.02]硝子球のように透き通った永遠の合わせ鏡 [03:29.50]罪人は少女の瞳の中に唯『世界』を見るという [03:35.37]百聞は一見に如かず千聞とてまた然り [03:39.77]憐憫…侮蔑…的外れな嘲笑…謂わば対岸の火事 [03:46.15]燃えるまでは熱さ解らず [03:48.65]燃えてからでは遅過ぎる [03:51.00]この世界で何人が罪を犯さずに生きられると言うのか [03:56.35] [03:57.82]──澪音の世界 [03:59.41] [04:16.49]閉ざされた少女の瞳が開かれし瞬間(とき)世界は [04:23.53]幻想し得る最悪の狂夢(ゆめ)を [04:27.13]残酷な死神(かみ)を見る [04:31.05]薄氷色(アイスブルー)に煌く瞳が鮮やかに朽ちる世界と [04:38.22]堕ちてゆく狂夢(ゆめ)に唇を重ねて [04:41.74]残酷な死神(かみ)になる [04:45.00] [04:46.35]地に蔓延りし我ら罪人の群れ [04:50.23]願わくば…君が澪音の世界に囚われないことを [04:54.98] [04:55.71]終わり