[00:01.360] 7.エルの天秤 [00:03.340] [00:03.600]殺人…竊盜…誘拐…密売… [00:07.360] [00:08.200]──悪魔に [00:08.590]魂を売り渡すかのように 金になる事なら何でもやった [00:12.800]問うべきは手段では無い その男にとって目的こそが全て [00:17.380]切実な現実 彼には金が必要だった… [00:20.790] [00:21.850]傾き続けてゆく天秤 その左皿が沈み切る前に [00:26.140]力づくでも浮き上がらせるだけの金が 右皿には必要だった… [00:30.750]そして…その夜も天秤は仮面を躍らせる…… [00:34.530] [00:46.120]闇を纏うように 夜の靜寂を探り 瞳と瞳(目と目)を見つめ合って [00:57.460]夢想的(Romantic)な月燈りに そっと唇重ね 息を潛めた… [01:09.410] [01:09.789]慌しく通り過ぎる 追っ手達を遣り過ごし 手と手を取り合って [01:22.900]戯曲的(Dramatic)な逃避行に 酔った二つの人生(いのち) 愛に捧げた… [01:34.180] [01:34.500]さよなら…(権力の走狗どもには便利なカード) [01:39.759]さよなら…(娘を売れば至尊への椅子は買える) [01:45.670] [01:46.610]身分違いの戀 許されないと知っても ♂(お)と♀(め)は惹かれ合った [01:57.479]嗜虐的(Sadistic)な貴族主義を 蹴って檻を抜け出す 嗚呼それは悲劇… [02:09.500] [02:09.810]運命の遊戯盤(Board)の上で 支配力を求めて 生と死は奪い合った [02:22.220]徹底的(Drastic)な追悼劇を 笑う事こそ人生 嗚呼むしろ喜劇… [02:34.180] [02:34.450]さよなら…(コインで雇った者が裏切る世の中) [02:39.800]さよなら…(他人ならば不條理と責めるは慘め) [02:45.740] [02:46.690]楽園への旅路 自由への船出 逃走の果てに辿りついた岸辺 [02:52.940]船頭に扮した男が指を鳴らすと 黒衣の影が船を取り囲んだ…… [02:58.250] [02:58.880]「お帰りの船賃でしたらご心配なく、既に充分すぎるほど戴いておりますので、けれども彼は、ここでさよなら」 [03:17.180] [03:17.540]「殘念だったね…」 [03:18.610] [03:34.350]「娘さえ無事に戻るならばそれで良い、使用人(オトコ)の方など殺(バラ)しても構わんわ」 [03:45.930] [03:46.510]一度も眼を合わせずに伯爵はそう言った… 金貨(コイン)の詰まった袋が機(テーブル)叩いた… [03:58.710] [03:59.300]いつも人間(ひと)は何も知らない方が幸福(幸せ)だろうに [04:04.740]けれど他人(ひと)を求める限り全てを知りたがる [04:10.960]──何故破滅へと歩み出す? [04:17.240] [04:17.519]華やかな婚禮 幸せな花嫁 運命の女神はどんな腳本(シナリオ)を好むのか… [04:23.890]虛飾の婚禮 消えた花嫁 破滅の女神はどんな綻びも見逃さない… [04:29.360] [04:29.720]嗚呼…燃えるように背中が熱い その男が伸ばした手の先には何かが刺さっていた [04:35.350]嗚呼…緋く染まった手を見つめながら 仮面の男は緩やかに崩れ落ちてゆく… [04:41.170] [04:42.600]嗚呼…その背後には娘が立っていた 凄まじい形相で地に臥せた男を凝視していた [04:47.950]嗚呼…一歩後ずさり何か叫びながら 深まりゆく闇の彼方へと走り去ってゆく… [04:53.780] [04:54.560]──徐々に薄れゆく意識の水底で 錆付いた鍵を摑もうと足掻き続ける [04:59.940]扉は目の前にある 急がなければ もうすぐ もうすぐ約束した娘の──