手慰みにはじめた 宛先のない手紙 今日も崖の上から 海へと瓶を投げる 深海まで落ちて 押し潰れたガラス 水に溶ける言葉 波紋のように広がる 今日はあかい夕暮れだ 闇がりに耳を澄ませば たしかに扉が鳴った 鳶色の髪と 香る潮騒 指先が滲む ガラスのかけら ずぶ濡れの君が 優しく笑って あたたかい声で なにかを祈った 夢をみる僕は 君を知らない 懐かしい声と ガラスのかけら ずぶ濡れの君が 僕の手をとる