作曲 : 中原信雄 作词 : 戸川純 得たひのしれぬ羽虫の 運んで来た悪ひ熱を 少年は、半ズボンから伸びた、 陽に燒けたその足のひざにイタダいて、 床に伏した。 父は汗をたくさんかくと良いのだと言ひ、 着物の下に下着を何枚も着せられ、 ゆだる樣なふとんの中で食った梨が美味かった。 しかし、ジッとしているだけとは、なんともなんぎなことであります。 誉められるわけでなし、駄賃を貰えるわけでもない。 早く元気になりたひ。 フト見ると、まくらもとにゆんベの虫の奴めはひからびていた。 いつまでも、熱はひかなかった。