[00:00.00] 作曲 : さだまさし [00:01.00] 作词 : さだまさし [00:19.11]病室を出てゆくというのに [00:22.79]こんなに心が重いとは思わなかった [00:29.37]きっとそれは [00:34.11]雑居病棟のベージュの壁の隅に居た [00:41.15]あのおばあさんが気がかりなせい [00:48.51]たった今飲んだ薬の数さえ [00:52.23]すぐに忘れてしまう彼女は しかし [01:03.01]夜中に僕の毛布をなおす事だけは [01:10.00]必ず忘れないでくれた [01:16.97]歳と共に誰もが子供に帰ってゆくと [01:24.31]人は云うけれどそれは多分嘘だ [01:31.59]思い通りにとべない心と動かぬ手足 [01:38.58]抱きしめて燃え残る夢達 [01:46.43]さまざまな人生を抱いた療養所は [02:00.95]やわらかな陽溜りと かなしい静けさの中 [02:35.87]病室での話題と云えば [02:39.34]自分の病気の重さと人生の重さ それから [02:50.45]とるに足らない噂話をあの人は [02:57.54]いつも黙って笑顔で聴くばかり [03:05.22]ふた月もの長い間に [03:08.30]彼女を訪れる人が誰もなかった それは事実 [03:19.35]けれど人を憐れみや同情で [03:26.29]語れば それは嘘になる [03:33.33]まぎれもなく人生そのものが病室で [03:40.42]僕より先にきっと彼女は出てゆく [03:47.91]幸せ 不幸せ それは別にしても [03:55.09]真実は冷やかに過ぎてゆく [04:02.76]さまざまな人生を抱いた療養所は [04:17.38]やわらかな陽溜りと かなしい静けさの中 [04:32.18]たったひとつ僕にも出来る [04:35.42]ほんのささやかな真実がある それは [04:46.76]わずか一人だが 彼女への見舞客に [04:53.83]来週からなれること