[00:37.839]風の音(と)の遠き [00:41.836]古(いにしえ)の咎(とが)よ [00:47.034]今は結ぼほる [00:51.057]虬(みずち)の玉か [00:56.307]木(こ)の暮れの闇に [01:00.304]潜みて存(ながら)へば [01:05.476]此処(ここ)ながら黄泉(よも)つ [01:09.578]獄となりぬる [01:14.750]幽(かそ)けし 人の心ばへ [01:23.997]交(まじ)ろふ 鬼のささめき [01:33.140]朽ち残る骨は 何ぞ白き色や [01:42.440]野晒(のざら)しとなりて [01:46.436]なほ薄笑(うすわら)う [01:51.609]幽けし 人の心ばへ [02:00.804]交ろふ 鬼のささめき [02:09.424]底ひなき 常闇(とこやみ)に落つ [02:19.194]血染まる 衣(きぬ)を纏(まと)ひて [02:27.997]我はさも 鬼魅(きみ)となりけり [02:37.166]血を啜(すす)り 肉を喰らふ [02:46.335]我はさも 鬼魅となりけり [02:55.609]血戯(ちそばえ)へて 爪(つま)を掲(かか)ぐ [03:46.077]あれほど見てはならぬと申したに [03:50.413]とうとうこの姿を見られてしもうた [03:55.638]あなた様もこの婆とかかづろうたのが [04:00.000]運の尽きと諦めなさるがええ [04:04.154]いかにも累々と積もる白骨は [04:06.818]私の喰ろうた人のなれの果て [04:10.110]私も昔は若く美しゅうございました [04:13.453]背負い切れぬ程の業罪が [04:15.752]私を鬼にしたのでございます [04:18.704]いつしか口は裂け顔は醜く歪み [04:21.525]髪はみすぼらしい白髪になり果てました [04:24.843]一夜の宿をと訪ね来た旅人の喉笛に [04:27.821]爪を立て血を啜り其の肉を喰ろうて [04:31.191]今日まで生きながらえたのでございます [04:33.986]何故このような業を背負うたのか [04:37.277]それは私が死んだ我が子を [04:41.849]喰ろうてしもうたからです