真珠 天野月 口を閉ざしたまま あたしは沈んでいた 夥しい数の砂に潜って 誰よりも上手に 泳げているつもりで 足を取られてた 海の底に その手に掬い出され あたしは空を眺めてる 萎んでしまわぬように あなたはあたしに 水を与え続けてる 何度も あなたから注ぐ いくつもの雨が あたしの心に 真珠を産み落とすの 手のひらの上で転がしてはまた 想いに震えて 雨が落ちる 全部 あなたにあげるよ あたしの身体で 吐き出せる すべてを 帰り道の途中 あたしを運び上げる 美しい色の魚と出会った 躓かないように ほんの少しだけでも 浮かべるようにと 波を立てた その手が伸びてた事 あたしはいつ気付いただろう やさしい言葉ですら 怪訝に疑い いつも耳を塞いでた いつでも あなたから貰う いくつもの雨が あたしの真珠に 光を呼び戻すの 手のひらに乗せて確認しながら まばゆい想いに 雨は落ちる 全部 あなたにあげるよ あたしの身体で 吐き出せる すべてを 見せたくなどなかった 罅割れてしまってた 花をあしらう 花瓶さえも あなたはその両手で あたしの皹を塞ぎ 大丈夫だよと 繰り返した あなたから注ぐ いくつもの雨が あたしの心に 真珠を産み落とすの 手のひらの上で転がしてはまた 想いに震えて 雨が落ちる あなたから貰う いくつもの雨が あたしの真珠に 光を呼び戻すの 手のひらに乗せて確認しながら まばゆい想いに 雨は落ちる 全部 あなたにあげるよ あたしの身体で 吐き出せる すべてを あなたにあげるよ あたしの身体で 吐き出せる すべてを