拝啓。 君は元気ですか?初めて手紙なんか書きます。 僕はなんとなく元気です。独りにも少し慣れました。 帰り道、夜の公園が満開の櫻だったんで、 君の事を想ったりしてます。 まっ黒い空にうかんで櫻はあえいでいるようです。 世界の微熱があがるから景色が歪んで見えてきます。 それが恋のせいなら、きっと、いつか僕らは虫の息。 最期の蕾がひらいていきます。 ハローハロー聞こえますか? 僕は僕でいれますか? 祈る手に花びらです。君に触れたようです。 あざやかな色で音をたてて櫻が咲く。 君の声を追いかけてく。こぼれてくる恋のカケラ。 見上げたなら、花降る春。 あったかい風が吹いてきます。もうすぐ春の嵐が来ます。 狂ったように咲いてるけど、いずれは散りゆく運命です。 それが恋にもよく似ていて、いつかの僕らにそっくりで、 思い出し笑いしてしまいます。 ハローハローどこですか? 僕に何ができますか? 探す手に花びらです。君に触れたようです。 あざやかな色で音をたてて櫻が咲く。 繋いだ手が離れていく。こぼれてくる千の願い。 見上げたなら、花降る春。 舞い散る櫻で君の顔が見えなくなる。 淡い夢が覚めてくから、こぼれるのは涙で――――――。 あざやかな色で音をたてて櫻が咲く。 大切だったものは全部、この木の下に埋めていくよ。 目の前には、別れる春。 見上げたなら、花降る春。 僕の上に、僕の上に、そっと――――――。