お前の良い所 看板の片づけをして、ズボン濡れになってしまった俺たちは、そのまま生徒会室に戻ってきた。 「へへえ~お互いずいぶん濡れたなぁ。ほら、これ着ておけ。」 「何だ、変な顔して、俺のジャケットだ。貸してやるからありがたく着てろ!」 「俺か?俺なら大丈夫だ。気にするな。ほら、こっち来い!そこじゃ寒いだろう。肩震えてる。待ってろ。俺のタオルあるから、今髪拭いてやるよ。 へい、どうだ?俺が愛情込めて拭いたから、すぐに乾いただろう。濡れたままでいると、風引くからな。本当は看板しまうのだって、男の俺に任せておけばいいのに。 まったく、お前が風引いたら、生徒会のみんなが困るだろう。ふう、でも、それはお前のいいところだけどな。 ---ぬばたまの我が黒髪を引きぬらし乱れてさらに恋いわたるかも--- 私の黒髪を引き解くように、心乱れて貴方を思い続ける。 彼女は確かに俺の初恋の女の子だ。でも、いろいろな彼女を知れば知るほど、俺は自分に自信がなくなっていく。