指 トカゲの指や、腐れ指 俺の指や、金指 おやおや、総之助さんの指は腐れるよ そう言って、腐臭をつけて歌いながら 他の子供らが早知たっだ 私はそんなこと知らないものだから あ!トカゲ、トカゲって言って指差したのです トカゲに指を指すと、きっとその指が腐れて落ちるのだそうな 私のこの指が腐れるのだろうか さあ、大変なことをしたと思って 私はじっとその指を見つめました この指が腐って落ちてしまったら 私はもうこの指で絵を描くことも談合をけさむこともできやしない もうそろそろ腐っていくのじゃないかしらと思って 私は、その指をピクピク動かしてみた まだ動いている 腐ってやしない けれど、もうすぐ腐るのかもしれない もしか腐ったらどうしよう 私は 位を剥がれてしまえ渡る流人のような悲しさを味わいながら うちの方へ帰ってきました 今夜の空きの築地のとこまで来ると 総之助さん、総之助さんと呼ぶ声がする 築地の向こうの桑畑の中から 端折笠を着て、赤い手の兜をかけをした人が おいでおいでをしている 私は走ってそこへ行った その人は 私の手に、皿のように よく売れた桑の実を乗せてくれた それを食べている暇に 私は、腐った指のことを忘れてしまっていた それから、死期に知して思い出して またピクピクやってみたが 指は腐っていなかった